免疫学的, 病理学的アプローチを行ったフォンタン術後蛋白漏出性胃腸症の1例

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  • Pathological and Immunological Approaches for a Patient Complicated with Protein-losing Enteropathy Following the Fontan Operation

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抄録

感染を契機に蛋白漏出性胃腸症(protein-losing enteropathy:PLE)を発症し, その主因が心原性と判断できない症例で, 病態と治療について, 血清サイトカイン測定, flow cytometry(FCM)を用いた免疫学的検査, および病変部周囲の組織生検を行い検討した. 症例は6歳男児で無脾症, 房室中隔欠損(左室低形成)の診断でフォンタン術が施行された. フォンタン術後2年でPLEを発症し, 血清アルブミン(Alb)値は2.0~2.5 g/dlで推移し, 各種の治療に抵抗性であった. FCMでリンパ球減少, CD4陽性T細胞の著明な減少(CD4/CD8比 0.14)を認めた. 治療経過中の病理組織像では慢性腸炎の組織像を呈しており, 炎症細胞の浸潤を認め, 軽度のリンパ管の増加, および拡張を確認できた. ステロイド, シクロスポリン併用療法が施行され, 浮腫は軽快し, 現在までAlb値は3.0 g/dl前後で安定し, 免疫機能も改善しつつある. 血行動態の破綻が主因であると判断できないフォンタン術後PLEでは, 免疫機能検査, 組織学検査は治療方針を決めるうえで重要であり, かつ免疫系の異常が考慮される症例では, 治療反応性を確認するうえでも有用であると考えられた.

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