低分子抗リウマチ薬イグラチモド(コルベット<sup>®</sup>/ケアラム<sup>®</sup>錠25 mg)の薬理学的特性および臨床試験成績

書誌事項

タイトル別名
  • Pharmacological properties and clinical efficacy of the synthetic anti-rheumatic drug, iguratimod (Kolbet<sup>®</sup>/Careram<sup>®</sup>)
  • シンヤク ショウカイ ソウセツ テイブンシ コウリウマチヤク イグラチモド(コルベット/ケアラムジョウ 25mg)ノ ヤクリガクテキ トクセイ オヨビ リンショウ シケン セイセキ

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抄録

イグラチモド(コルベット®/ケアラム®)は,低分子の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)であり,in vitroにおいて単球や滑膜線維芽細胞による炎症性サイトカイン産生を抑制することが見出されている.このような作用はin vivoの動物モデルにおいても観察され,各種の自己免疫疾患モデルにおいて免疫組織の活性化を抑制し,骨破壊病変の進行を遅らせることが示された.さらに,細胞増殖に影響することなくB細胞の免疫グロブリン産生を抑制することが,他のDMARDにはない特徴的な薬理作用であった.イグラチモドの分子機序については,サイトカイン産生抑制効果がmRNAへの転写前に認められ,本薬による転写因子NFκBの活性化および核内移行の抑制が示唆されている.臨床試験は関節リウマチ患者を対象に初期第II相試験よりDMARDとして進められたが,用法用量としては1回25 mgを1日1回4週間投与し,その後1回25 mgを1日2回に増量する投与法が推奨された.第III相比較試験では,米国リウマチ学会判定基準の20%改善率(ACR20)を用いた判定で,プラセボに対する本薬の優越性が,また比較対照薬であるサラゾスルファピリジン(SASP)に対する非劣性が検証された.この比較試験および並行実施された長期投与試験において,メトトレキサート(MTX)およびSASPで効果不十分であった症例に対して本薬のACR20が50%以上であったことから,本薬は既存薬で治療困難な患者への新たな選択肢になると考えられた.さらに,MTXの効果不十分例を対象としたMTX併用試験において,MTX単独投与に対する本薬上乗せ投与の優越性がACR20によって検証された.日本で承認されている経口DMARDの中で,本薬が国内治験で初めてMTXへの上乗せ併用のエビデンスを示したことは,目標達成に向けた治療が提唱されている現在,重要な意義をもたらすであろう.

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 140 (6), 285-292, 2012

    公益社団法人 日本薬理学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (58)*注記

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