介護予防事業対象者選定における生活機能検査の参加状況と要介護状態発生との関連

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タイトル別名
  • Relationship between participation in a secondary screening test for the frail elderly and new onset of the need for long-term care among the elderly in a rural town
  • カイゴヨボウ ジギョウ タイショウシャ センテイ ニ オケル セイカツ キノウ ケンサ ノ サンカ ジョウキョウ ト ヨウカイゴジョウタイ ハッセイ ト ノ カンレン

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抄録

目的 本研究は,介護予防事業の対象者選定過程の生活機能検査への参加状況を明らかにし,その参加状況と心身状況との関連を検討するとともに,参加状況と要介護状態の発生との関連を追跡調査によって明らかにすることを目的とした。<br/>方法 石川県の一町に在住する65歳以上の要介護認定に至っていない全自立高齢者4,050人のうち,介護予防事業対象者選定の一次スクリーニング調査に回答した3,243人(80.1%)を追跡した。2 年間の追跡期間中の死亡者•転出者を除外した3,150人を解析対象者とした。対象者を,一次スクリーニング調査結果に基づいて,生活機能検査の受検が望ましい虚弱高齢者群(以下,虚弱群)と非虚弱高齢者群(以下,非虚弱群)に分け,さらに虚弱群を生活機能検査への参加群(以下,参加群)と同検査への不参加群(以下,不参加群)に分けた。これら 3 群間で要介護状態発生のリスクを比較した。<br/>結果 対象集団の中で,非虚弱群は72.7%(2,289人),虚弱群は27.3%(861人)であった。虚弱群の中の不参加者数(582人)は参加者数(279人)の2.1倍であった。参加者と比べると,不参加者では閉じこもり傾向と手段的日常生活動作関連能力低下を有する者の割合が有意に高かった。追跡期間中,168人に要介護状態の発生があり,非虚弱群,参加群および不参加群の発生率(人口千対)は,それぞれ24.0,93.2,149.5であった.Cox 比例ハザードモデルを用いて,性,年齢等を調整して計算した,非虚弱群に対する参加群と不参加群の要介護状態発生のハザード比(95%信頼区間)はそれぞれ2.55(1.59–4.10),4.46(3.15–6.32)であり,非虚弱群に対する不参加群での発生リスクは参加群よりも高かった。さらに基本チェックリスト全分野の合計点を調整したハザード比は,参加群で0.75(0.41–1.37),不参加群で1.09(0.65–1.82)であり,参加群と不参加群の間の発生リスクの違いは減弱されたものの,非虚弱群に比べて不参加群で高い傾向であった。<br/>結論 要介護の認定に至っていない高齢者集団において,生活機能検査の対象となる虚弱高齢者は,非虚弱高齢者に比べて要介護状態の発生リスクが高かった。しかも,虚弱高齢者の多くを占める生活機能検査不参加者の同リスクは参加者よりも高かった。

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