口頭命令に対する左上肢の運動の困難さが目立った拮抗性失行を呈した一症例

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  • Report of a patient who showed diagonistic dyspraxia and marked dif ficulty in motor initiation of the left hand on verbal command

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抄録

脳梗塞後に, 拮抗性失行および口頭命令に対する左上肢の運動の困難さを認めた 61 歳の右利き女性例について報告した。拮抗性失行は強制把握を伴わず突発的に出現し, 行為の開始時あるいは行為の途中に多く認められ, 左手が右手の行為に対して反対目的の動作をとるという異常行為が主体であった。また, 左手の観念運動性失行を認めた。さらに, 口頭命令において左手の運動開始が困難あるいは開始までに時間を要す特徴的な症状を認めた。頭部CT では左前頭葉皮質下と脳梁膝部から膨大部にかけて低吸収域を認め, 脳血流シンチでは左に強く右により軽度の, 前部帯状回および下・中前頭回を中心とする広範な前頭葉の血流低下を認めた。本例の左手に見られた異常行動は間欠性運動開始困難と位置づけ, 超皮質性運動失語に伴う発話の発動性の低下および右前頭前野の機能低下による左手の動作の発動性の低下がより強調されて現れているものと解釈された。

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