腹膜刺激症状を伴わなかった特発性S状結腸穿孔の1例

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タイトル別名
  • A Case of Idiopathic Perforation of the Sigmoid Colon Without Any Peritoneal Irritation Sign

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抄録

症例は58歳,男性。長期間脳梗塞後遺症のため寝たきり状態であった。2週間ほど前から食欲低下,便秘,体重減少がみられていたが,意識障害が出現したため来院した。腹部X線写真およびCTで多量の腹腔内遊離ガス像を認めたが,腹膜刺激症状は認められなかった。消化管穿孔を強く疑い,緊急手術を施行した。開腹すると腹膜炎の所見は乏しく,S状結腸にピンホール状の穿孔を認めた。穿孔部に肉眼的な病変はみられず,特発性大腸穿孔と診断した。手術は穿孔部の縫合閉鎖術および腹腔内洗浄,ドレナージ術を施行した。特発性大腸穿孔は糞便性腹膜炎を伴い重篤な経過をたどることが多いが,本症例は小さな穿孔部からガスのみが腹腔内に漏れ出たために腹膜炎症状を呈さず,重症に至らなかった極めてまれな1例である。

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