機能的側方偏位による顎関節症状を伴った叢生症例

  • 飯塚 康之
    岩手医科大学歯学部口腔保健育成学講座歯科矯正学分野
  • 遠藤 陽子
    岩手医科大学歯学部口腔保健育成学講座歯科矯正学分野
  • 清野 幸男
    岩手医科大学歯学部口腔保健育成学講座歯科矯正学分野
  • 三浦 廣行
    岩手医科大学歯学部口腔保健育成学講座歯科矯正学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A case of crowding with temporomandibular joint symptoms due to functional lateral eccentric occlusion

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抄録

歯の早期接触による下顎の側方偏位を有し,顎関節症状を伴う症例に対しては,顎関節症状の緩和・消退を先行し,早期接触の除去後に下顎位の修正を行い,安定したセントリックストップを確立すべく咬合再構成を行うことが必要となる。今回,下顎の側方偏位と顎関節症状を伴った叢生症例に対し,ファンクショナルワックスバイト法にて早期接触による機能的な側方偏位を確認し,矯正歯科治療の開始前にスタビライゼーション型スプリントを用いて治療上の下顎位を決定したうえで矯正歯科治療を行った。前方転位していた左側の顎関節円板はスプリント使用中に復位した。矯正歯科治療中はバイトブロックなどを用いて,確認された治療上の下顎位をできるかぎり維持するように努めた。矯正歯科治療中に開口制限,顎関節部の違和感などの顎関節症状が生じる時期もあったが,4年11か月間の動的矯正治療によりほぼ目標とした顎位で安定した咬合が確立できた。保定期間中に一過性に開口障害を生じることがあったが,保定2年後の咬合は安定していた。本症例を通して,顎関節症を伴う不正咬合の症例に対し,スプリントを用いて決定した治療上の下顎位で咬合を確立する矯正歯科治療の有効性が認められた。さらに,顎関節症状の再発については注意深く経過観察していく必要性が示唆された。<br>

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参考文献 (23)*注記

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