十二指腸球後部穿孔による網嚢膿瘍の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of a Lesser Sac Abscess Resulting from a Posterior Duodenal Wall Perforation

この論文をさがす

抄録

症例は65歳,男性。1ヵ月前よりしばし腹痛,3日前より食欲不振あり。当日朝,衰弱のため救急搬送となった。来院時はショック状態で腹部はやや膨満し上腹部を中心に圧痛と反跳痛,筋性防御あり。腹部CTで網嚢内に不整なガス像と液体貯留を認めた。網嚢へ穿破した消化管穿孔と敗血症性ショックの診断で緊急開腹手術を行った。網嚢を開放すると十二指腸球部から横行結腸脾彎曲部に至る膿瘍を認めた。消化管に明らかな穿孔部位を同定できなかったが,術中血圧が不安定でそれ以上の観察はできず,網嚢ドレナージ術を施行するにとどめた。術後上部消化管内視鏡で十二指腸球後部に潰瘍を認め,ドレーンからのチューブ造影で網嚢と十二指腸球部に交通を認めた。網嚢膿瘍は比較的まれな病態だがその多くは膵由来であり十二指腸潰瘍穿孔による報告はさらにまれである。文献的考察を加えて報告した。

収録刊行物

参考文献 (11)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ