頸部リンパ節または唾液腺腫脹を主訴とした サルコイドーシス症例の臨床的検討

  • 間多 祐輔
    脳神経疾患研究所附属 総合南東北病院 耳鼻咽喉科
  • 伊原 史英
    千葉大学大学院医学研究科
  • 植木 雄司
    脳神経疾患研究所附属 総合南東北病院 耳鼻咽喉科
  • 今野 昭義
    脳神経疾患研究所附属 総合南東北病院 耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • A Clinical Study on 8 Cases of Sarcoidosis with a Cervical Mass as a Symptom
  • 頸部リンパ節または唾液腺腫脹を主訴としたサルコイドーシス症例の臨床的検討 : 当科初診8例と他科初診25例との比較検討
  • ケイブ リンパセツ マタハ ダエキセン シュチョウ オ シュソ ト シタ サルコイドーシス ショウレイ ノ リンショウテキ ケントウ : トウ カ ショシン 8レイ ト タ カ ショシン 25レイ ト ノ ヒカク ケントウ
  • ―当科初診8例と他科初診25例との比較検討―

この論文をさがす

抄録

サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患であり, 多彩な症状を呈する. まれではあるが, 頸部リンパ節あるいは慢性持続性の唾液腺腫脹の原因となる. 今回われわれが経験した頸部腫瘤を主訴とした8症例をもとに診断方法とその臨床像について検討した.<br>8例中7例に開放リンパ節生検を, 1例に耳下腺生検を行い, 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め, 病理組織学的にサルコイドーシスの診断を得た. 全身検索で他臓器に病変を認めたものが6例, 頸部のみに病変が限局していたものは2例であった. サルコイドーシスに特徴的とされる肺門リンパ節腫脹は全例でみられず, 血清ACE活性の上昇を認めたものも1例のみであった. 頸部腫瘤を主訴とするサルコイドーシス症例では特徴的な検査所見を呈する場合が少なく, 肺門リンパ節腫脹や血清ACE活性の診断的意義は低いと考える. ツベルクリン反応は7例中4例が陽性であり, 頸部リンパ節結核との鑑別のためには培養検査やTB-PCRを組み合わせることも必要である.<br> 自験例で20年以上の経過を経て頸部リンパ節から他臓器へ病変が進展した1例を認めた. 病理組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めた場合, 全身検索によりサルコイドーシスの診断基準を満たさなくても, 頭頸部限局型サルコイドーシスとして他臓器への病変の進展を長期にわたり観察することが重要である.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (34)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ