S状結腸狭窄を契機に発見された原発性虫垂癌の1例

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  • A Case of Appendix Cancer Presented with Annular Stricture of Sigmoid Colon

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抄録

症例は44歳,男性.下痢,粘血便を主訴に近医を受診し骨盤内腫瘤を指摘され,当院紹介となった.大腸内視鏡検査および注腸造影検査ではS状結腸に全周性狭窄が認められ,生検では高分化腺癌もしくは粘液癌が疑われた.CT検査では回盲部からS状結腸へ連続する腫瘤が認められ,右尿管との境界は不明瞭であった.以上より,S状結腸癌のほかに,S状結腸・右尿管に浸潤した虫垂癌も疑い手術を施行した.開腹すると,多量の腹水と大網に多数の播種結節が認められた.盲腸から回腸,S状結腸,右尿管に連続して一塊になった腫瘤を認め,原発性虫垂癌と診断した.根治手術不能と判断し,回腸横行結腸バイパスを施行し,S状結腸に人工肛門を造設した.大網の病理診断では粘液産生の目立つ腺癌であった.原発性虫垂癌は比較的稀な疾患であり,術前診断は困難であるが,回盲部の腫瘤性病変では本疾患も念頭において早期発見・治療することが重要と考えられた.

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