第2回「主婦の社会的支援ネットワーク特性と精神的健康調査」の基礎分析

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抄録

筆者らは、平成5年10月に岡山市で社会的支援ネットワークと精神的健康に関する面接調査を行った。その調査対象は、60歳未満の既婚女性であった。その調査の分析枠組みは、住民が取り結ぶ社会支援ネットワークがその人の精神的健康に及ぼす影響を解明することであった。しかし、一時点において、回答者の社会的支援ネットワークとその人の精神的健康を調査したので、両変数間での因果関係を確定できなかった。つまり、この調査方法では、社会的支援ネットワークと精神的健康の間に関連があるとき、回答者の社会的支援ネットワークがその人の精神的健康に影響を及ぼしているのか、回答者の精神的健康が社会的支援ネットワークに影響を及ぼしているのかを確認できないのである。 この調査方法上の問題を解決して、回答者の社会的支援ネットワークがその人の精神的健康に影響を及ぼすかどうかを検証するために、平成5年10月の調査(以後、この調査を「第1回調査」と呼ぶ)の回答者を対象にして平成6年11月にパネル調査を実施し(以後、この調査を「第2回調査」と呼ぶ)、約1年後のその人の精神的健康を調査した。両調査の結果をまとめることで、回答者の社会的支援ネットワークがその人の精神的健康に及ぼす影響を検証できるのである。つまり、調査時点が約1年ずれているので、第1回調査における回答者の社会的支援ネットワークと第2回調査におけるその人の精神的健康との間に関連があるとすれば、前者が原因で後者が結果であると考えることができる。 これに加えて、第2回調査で透明や半透明のゴミ袋を使用する意思決定の過程とその使用の実態を調査することにした。平成6年10月1日より岡山市で透明や半透明のゴミ袋を使うことになった。透明や半透明のゴミ袋を使うことは、イノベーションの採用とみなすことができる。そして、社会関係を取り結ぶ人からのパーソナルコミュニケーションは、その人のイノベーションの評価に大きな影響を及ぼすと言われているから(Katz and Lazarsfeld 1955, Rogers 1971)、社会関係(特に、近隣関係)を多く取り結ぶ住民ほど透明や半透明のゴミ袋を採用しやすいという仮説を提起できる。ところで、第1回調査で社会的支援ネットワークを調査していたので、第2回調査で同一の回答者に透明や半透明のゴミ袋を使用しているかを調査すれば、住民の社会関係がそうしたゴミ袋の使用に影響を及ぼしているかどうかを検証できる。 (1)住民の社会的支援ネットワークがその人の精神的健康に影響を及ぼしているかどうか、(2)住民の社会関係がその人の透明や半透明のゴミ袋の採用に影響を及ぼしているかどうかの2点を検証するために、筆者らは第1回調査の回答者を対象にして平成6年11月に第2回調査を実施した。本稿では、その調査の概要を説明し、単純集計表を提示する。最後に、この単純集計表を検討することから得られた知見を解説する。

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