関税を導入した国際貿易空間均衡モデルの展開 : 完全競争市場の場合

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タイトル別名
  • Studies on Spatial Equilibrium Model of International Trade Under Tariff Quota System with Specific and Ad Valorem Duties : The Case of Perfectly Competitive International Trade
  • カンゼイ オ ドウニュウ シタ コクサイ ボウエキ クウカン キンコウ モデル ノ テンカイ カンゼン キョウソウ シジョウ ノ バアイ

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抄録

これまで,関税割当制度や複合税の存在によって,国際貿易空間均衡モデルへ実際の関税を導入することが困難なものとされてきた.しかし,本稿第2節および第3節で述べたような方法によりそれらをモデルへ組み込めることが明らかとなった.第4節では完全競争市場を想定の下,関税割当制度とCIF価格ベースによる複合税を導入したモデルを具体的に展開し,より現実的かつ実践的な国際競争モデルへの接近を試みることができた.そして第5節において具体的数値例を用いその静学的均衡解が得られることを確かめた.以上,本稿で提示したモデルは国際貿易に関する市場分析を行う上での汎用性,一般性の高いフレームワークを提供するものであり.多くの応用分野をもっと考えられる.また,本稿で提示したモデルは我が国でみられるような複合税に対応したモデルから出発したものであるが,単に従量税のみ,あるいは従価税のみの関税にも容易に対応できる汎用性のあるモデルでもある.また,従来の補助金制度をモデルに組み込むにはマイナス関税額,マイナス輸送費として解釈することで容易に可能となる.そして,本稿ではCIF価格ベースとFOB価格ベースの関税化を別々に取り扱ったが, CIF価格とFOB価格の組み合わせも容易で,その方が極めて現実的で、あると言えよう.なお, LCPの解法に関してはCottle et a1 (1992)やNagurney,A. (1993)などによって現在多くの研究がなされている.本稿では特に取り上げなかったが,詳細は本稿末に掲げた文献を参照してほしい.最後に今後の課題について述べ,本稿を締めくくりたい.本稿では,完全競争市場を想定したモデルの展開を行ったが,そうでない場合にも容易に対応できる.この点に関しては今後別稿にて取り上げることとする.また,国内産地問競争モデルともリンクした空間均衡モデルすなわち園内市場と世界市場をリンクしたモデルへの拡張も容易に可能であり,今後の国際競争を勘案した囲内産業のあり方を検討するための一計量的手段となりうることが期待できよう.

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