<原著>喉頭直達鏡による気管内挿管時の喉頭展開の難易に関する研究

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  • A study of the ease or difficulty of direct laryngoscopy with the laryngoscope for endotracheal intubation

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抄録

東北大学歯学部附属病院で8年3か月間に麻酔管理を行った1916例のうち1902例(99.3%)に気管内麻酔が行われた。この1902例中, 喉頭展開が困難であった症例は52例(2.7%)で, その原因としては開口障害が26例と最も多かった。しかし, 開口障害や下顎の後退, 小下顎症など喉頭展開を困難にする明らかな要因が認められなかったにもかかわらず喉頭展開が困難であった症例を15例経験した。従って, このような症例の気管内挿管に際し, 喉頭展開の難易を予測することは麻酔管理上, 極めて重要である。そこで本研究では, この15例中資料の整っていた13例を対象に, 喉頭展開を困難にする解剖学的要因について, 側面頭部X線規格写真を用いて検討した。その結果, 喉頭展開が困難であった症例では, 容易であった症例に比べて喉頭蓋谷及び被裂軟骨部が気道のより"深い"位置にあることが判明した。また下顔面高も喉頭展開を困難にする要因の1つと考えられた。喉頭展開困難を予測する指標としては第1頚椎前結節最前点一喉頭蓋谷間距離73mm以上が特異度97.1%で最も有用であった。また第1頚椎前結節最前点一被裂軟骨部最上点間距離94mm以上も感度83.3%, 特異度86.2%で有用な指標であることが示唆された。本研究の結果から, 側面頭部X線規格写真を用いて喉頭蓋谷の深さを計測することは気管内挿管時の喉頭展開困難症例を予測できる有用な評価方法であると考えられた。

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