食品成分含有量の分布と動向に関する研究(第10報) : モロヘイヤについて

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タイトル別名
  • Studies on Distribution and Behavior of the Contents of Components in Foods (Part X) : On the Mulnkhiyya (Corchorus Olitrius, L)

抄録

モロヘイヤは, シナノキ科コルコラス属に属する北アフリカ原産の植物で, 葉は青しそに似た形で, 葉を刻むとドロリとした粘りがでる.今回は, 高知県南国市で数年前より新しく栽培されている, モロヘイヤを試料として各種成分含有量を測定し, その分布型の決定を試みると共にこれらの成分の特性値を求めた.ついで栽培別および部位別による各種成分含有量の変動, さらに各種元素間の相関関係について検討した.特に最近, 亜鉛の不足による味覚の障害が取り沙汰されていることもあり, 今回は亜鉛と銅の測定を加え, 合わせてこれらの相関関係についても調べた.(1)モロヘイヤの無機成分, 水分およびビタミンC含有量の分布型決定の結果, ハウス, 露地栽培共に, カルシウム, リン, 鉄, カリウム, マグネシウム, 窒素, 水分およびビタミンCは正規分布し, ナトリウム, 亜鉛および銅は対数正規分布を示した.モロヘイヤのカルシウム, 鉄, およびビタミンC含有量は他の緑黄色野菜に比べて比較的高かった.(2)ハウス栽培と露地栽培の比較では, 水分はハウス物に多く, カルシウム, 鉄, ナトリウム, マグネシウム, 銅, 窒素およびビタミンCは露地物に多かった.(3)葉と茎を比較した結果, 葉にカルシウム, リン, 鉄, 亜鉛および銅が多かった.(4)元素間の相関関係については, 窒素, リン, カリウム間では窒素とリン間のみに正の相関がみられた.亜鉛, 銅と各元素間については, 全試料では, 窒素と銅, カルシウムと銅!ナトリウムと銅間に正の相関関係が見られ, ハウス物に鉄と亜鉛, 鉄と銅, ナトリウムと銅間, 露地物にカリウムと亜鉛, 銅と亜鉛間に正の相関関係が見られた.従って, 亜鉛についてはマグネシウム間に負の傾向が, カリウム間に, 正の相関が見られた.銅については, 窒素間, カルシウム間, ナトリウム間に正の相関が見られた.又, 銅と亜鉛間では, 正の相関が見られた.(5)煮る, 操作については, 無機成分の経時的変化を調べた結果, 水より煮出すより, 沸騰水で煮出す方が無機成分は良く溶出し, 2分間経過でカリウム, ナトリウムは約25%の溶出を見た.(6)基本的調理操作を施し, 無機成分量の損失を調べた結果, 茄でる操作は損失が大きく, 次いで蒸すであった.官能検査の結果, 総合的に好ましい調理操作の順位は, (1)妙める(2)茄でる(3)蒸す(4)生の順であった.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390006464326438528
  • NII論文ID
    110000409977
  • DOI
    10.24649/kgc.21.0_551
  • ISSN
    24336440
    03894088
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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