バイカル湖集水域における過去25万年間の植生変遷

DOI 機関リポジトリ HANDLE オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Vegetation history of the Baikal drainage basin during the last 250,000 years

この論文をさがす

抄録

バイカル湖アカデミシャンリッジで採取したコア VER96-2 St.3について花粉分析を行った結果,過去250,000年間にわたるバイカル湖集水域での植生変遷が明らかになった。氷期(同位体ステージ 2,4,5d,6)には,亜極地性砂漠或いはステップツンドラといった極めて貧弱な植生が永久凍土上に広がっていた。亜間氷期(同位体ステージ 3,5a,5c)には,永久凍土の活動層上に湿地が形成され,そこに低木林が生育していた。間氷期(同位体ステージ1,5e,7a,7c)では針葉樹林が発達した。これら集水域での永久凍土の発達とそれに伴う植生の変化は,土壌からの栄養塩の流出を制御し,バイカル湖内での珪藻生産力に多大な影響を与えた。そして,気候変動に依存した集水域の土壌形成は,栄養塩溶脱作用の質的変化を生み出し,湖内の珪藻群集構成にまで影響をもたらした可能性がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ