北海道平取町去場における入会林野の特質

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タイトル別名
  • Characteristics of the Common Land in Saruba, Biratori Town, Hokkaido
  • ホッカイドウ ビラトリチョウ サルバ ニ オケル イリアイ リンヤ ノ トク

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抄録

本稿では,日本の農村における共同体的結合の物質的基盤として重要な存在である入会林野の所有・利用の実態を主要な指標とすることにより,北海道農村の社会的特質を実証的に明らかにしようと試みた.研究対象とした平取町の去場共同山の林野所有・利用の実態を検討した結果,権利者集団の地域性や権利者の形式的平等性など形態としては内地と共通する基本的性格を持っているものの,一方で農家の流動性の高さによる入会林野の共有持分権の頻繁な売買など北海道独自の特色が見られることが明らかとなった.とくに持分権の性格に着目すると,内地の一般的農村のような「村落共同体の構成員としての保障」という社会的価値の認識が希薄で,持分権の経済的価値のみが強く認識される傾向にある.こうした点に,機能性が地縁性に優越するという北海道社会の特質が反映されており,入会林野を指標とする北海道農村社会の特質の解明が一定の有効性を持つことが示された.

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