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Abstract
今日,制度的には,有価証券は時価で測定される。しかしながら,有価証券の時価測定の理論的根拠は,けっして解明されていない。もちろん,種々の見解が提唱されているが,しかし,とうてい,その妥当性について,特定の学説が,学界で合意を得られているとは言い難い。その意味では,クーンのいう科学的危機の状況にある。そうであれば,諸パラダイム間の比較検討の試みがあってもしかるべきであろう。そうした試みがなされないかぎり,時価測定に関する理論的根拠の解明は,ついに達成されないであろう。今日,有価証券の時価測定の根拠としては,主観のれん説,実現可能基準説,そして企業資本等式説の三者が有力である。したがって,その比較検討が必要であるが,ここでは有価証券損益についての三者の見解を取り上げてみよう。ただし,この三者の見解を妥当に比較検討するためには,まずもってその三者を首尾一貫した体系として再構成しておくことが不可欠であるが,ここでは,これを理想型とよんでおこう。つまり,提唱されている諸学説は,必ずしも論理的整合性を具えているとは限らない。したがって,首尾一貫した体系として再構成し,この理想型について,実践の説明可能性を比較検討することが,必要なのである。本稿は,上記3学説の,有価証券損益に関する理想型を再構成することを企図している。
Journal
- Mita business review [List of Volumes]
-
Mita business review 44(3), 19-46, 2001-08-25 [Table of Contents]
Keio University