Amoxapineが奏効した重篤な嘔吐を主症状とした1例

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タイトル別名
  • A Case with Severe Vomiting Improved by Administrations of Amoxapine

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抄録

重篤な嘔吐を主訴とする33歳女性患者の治療を試みた。患者は身体的に障害はなく, 種々の心理検査においても, 知的異常・性格偏倚および精神症状は認められなかった。しかし, その活気のなさから仮面うつ病と診断し, 抗うつ剤amoxapineを投与したところ, 元気になり, 嘔吐はみられなくなった。この症例は心身医学的に2つの重要な問題を提起している。すなわち, 患者が自らの精神状態について十分な認知をしていなければ, 一部の心理検査はその有用性を減ずる可能性がある。また, うつ病によって引き起こされる嘔吐の神経学的メカニズムは未だ明らかでない。この2点について, より一層の探究が必要であると思われた。

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 36 (7), 607-609, 1996

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (3)*注記

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