「あく」の中の無機成分の調理操作による溶出について : 第1報 : よもぎの場合

書誌事項

タイトル別名
  • The Elution of Inorganic Components from Harshness ("Aku") by Cooking Methods : Part 1 : In the case of Mugwort

この論文をさがす

抄録

「あく」の成分のうち無機質特にアルカリ土類金属の塩類は好ましくない味を呈するので,ヨモギを用いてCa,Na,K,Mg,Feの溶出状態を調べた。ヨモギは採取後,水道水ついで純水で洗ってから茄でた。純水,0,2%重曹溶液および1%灰溶液を用いて3分間茄でた場合の溶出率を比較すると,灰分は純水の46%が最も高く,次いで重曹溶液,灰溶液の順であった。Caについては重曹が14%,純水が10%であったが,灰溶液の場合は灰の中のCaにより無処理のヨモギより高い値となった。Naは純水の場合には33%の溶出率を示したが,重曹溶液では重曹からのNaにより大きな増加がみられた。Kは重曹溶液では40%,純水で38%,灰溶液で21%の溶出を示し,Mgは純水で28%,重曹溶液で13%の溶出を見た。ヨモギのあく抜きは,3分茹でただけで十分であるが,色が悪くなるので,調理の際には重曹もしくは灰溶液を用いた方が適当である。しかし重曹溶液で3分以上茄でると黒くなるので注意しなければならない。終りに,本研究に際しご指導,ご校閲くださいました実践女子大学速水泱教授に心より深く感謝いたします。なお,本研究の大要は第22回日本家政学会・東北北海道支部総会(1977年7月,福島)において報告した。

収録刊行物

  • 調理科学

    調理科学 12 (2), 101-104, 1979-07-20

    調理科学研究会

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ