柑橘果汁の炊飯への利用

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タイトル別名
  • Use of Citrus Fruits for Rice Cooking

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抄録

夏みかん及び甘夏みかんの果汁を加水量の20~60%加え、直接炊き込む方法により炊飯を行った。結果を以下に要約する。1)加熱による色、風味への悪影響はなく、炊き上がった飯はうすいみかん色と適度な酸味を呈し、加える果汁割合を考慮すれば官能的に良好な飯となった。夏みかんでは加水量の40%、甘夏みかんでは60%の添加割合が好ましいものであった。2)果汁を加えた飯は、粘りが強くやわらかい飯となった。また、つやの測定値が高く、顕微鏡観察では飯粒周辺部に濃厚に見える付着物がみられ、つやや粘りとの関係が示唆された。3)飯粒中の酸の浸透状態は果汁割合の多い飯ほど、飯粒表面付近の酸量が多く、この酸の働きにより表面組織の状態にも違いが生じ、テクスチャーなどの差として測定されたと思われる。以上、果汁添加による飯の性状の変化が観察され、食味上、好ましい果汁の添加割合が明らかになった。また、本法による炊飯は簡便であり、果汁を多く使用できるため、炊き上がった飯のみかん色を生かした調理が期待できる。付着性の増加などの特徴を粘りの少ない品種の米や古米に生かすことができればこれらの米の利用価値を高めることも可能であると考えられるため、今後さらに検討を進める予定である。

収録刊行物

  • 調理科学

    調理科学 23 (2), 198-205, 1990-05-20

    調理科学研究会

被引用文献 (9)*注記

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