ラット肝における化学発癌感受性に関与する遺伝子の検索

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タイトル別名
  • Investigation of Possible Involvement of Several Genes Related to Development of Hepatocarcinogenesis in Rats

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抄録

化学発癌感受性に関連する遺伝子の連鎖解析などから予想される遺伝子群の検索を, 発癌耐性DRHラット, および感受性である呑竜ラットとF344ラットを用いて行っている. DRHラットでは前癌病変と考えられているグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST-P)陽性病巣の出現が抑制されているので, まずGST-P遺伝子のプロモーター領域に, polymorphismの存在の有無を調べたが, GPE-ⅠおよびGPE-Ⅱを含むエンハンサー領域の塩基配列は, まったく同一であり, 塩基の置換などは認められなかった. さらにサイレンサー領域に結合するNFA-1蛋白質のmRNAにも差異は認められなかった. 次に, GST-P陽性病巣が存在してもDRHラットでは、そのclonal expansionが抑えられていることから, 細胞増殖に関連したTGF-αとTGF-βの誘導を調べたが発癌感受性との相関性はなかった. 癌組織で高い発現を示すIGF-Ⅱも, 新生児ラットでは, DRH, 呑竜およびF344ラットで高発現が見られたが, 成熟するにつれて減少する時間的変化もこれらのラットで共通して見られた. AFPのみは, 感受性ラットでより高い遺伝子発現が3'-Me-DABの処理により観察された. ラットにおける発癌感受性に関与する候補遺伝子の検索はさらに検討中である.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 22 (2), 119-132, 2000

    学校法人 産業医科大学

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