磁気刺激によるラットてんかん発作の抑制

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Abstract

【目的】経頭蓋磁気刺激法のてんかん治療効果を調べるために,ラットpentylentetrazol誘発てんかんにおける低頻度経頭蓋磁気刺激の効果を検討した.【方法】ウイスター系雄ラットで実験をおこなった.実験は産業医科大学動物実験および飼育倫理委員会の承認を得ておこなった.円形コイルを用いて運動閾値の2倍の強度で0.5 Hzで30分間ラット頭部を経頭蓋磁気刺激をおこなった後,pentylentetrazolを腹腔内注射した.脳波記録をおこない,同時に発作症状をビデオ記録した.【結果】注射後のミオクローヌス発作出現までの潜時は,コントロール群60±11秒(n=10)が磁気刺激群では131±61秒(n=10)に有意に延長した.注射後の強直間代発作出現までの潜時は,コントロール群70±14秒(n=10)が磁気刺激群では203±74秒(n=10)に有意に延長した.注射後の脳波記録でのてんかん波出現までの潜時は,コントロール群54.6±11.5秒(n=10)が磁気刺激群では121.3±60.1秒(n=10)に有意に延長した.コントロール群のラットはすべててんかん重積状態となったが,コントロール群では40%のラットがてんかん重積状態となり,てんかん重積を抑制することも示された.これらの結果は低頻度経頭蓋磁気刺激を行なうことにより,ラットではpentylentetrazol誘発てんかんの発作感受性が低下することを示している.【考察】本実験結果は,経頭蓋磁気刺激がてんかんの治療に応用できる可能性を示唆するものである.労働者においてはてんかん発作のために就労が制限されたり,離職を余儀なくされることも多い.成人のてんかん治療は産業医学においても重要な課題であり,難治性てんかんの治療法に関する本研究は産業医学においても基礎的な研究であると考えられる.

Journal

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 24 (1), 97-, 2002-03-01

    The UOEH Association of Health Sciences

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