視機能異常と優位眼調節

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抄録

目的:正視眼、近視眼(late onset myopia)、間歇性外斜視眼を対象に、優位眼に着目した調節機能検査を行い、眼の発達過程期に発症したこれらの疾患における、優位眼の眼調節の関連性について精査し、近業による近視の発症、眼精疲労の予防のための対策のための情報を得ることを目的とした。方法:正視群18名、小学生の高学年以後に眼鏡装用した近視群14名、間歇性外斜視群6名を対象にした。外部指標を用いた両眼視調節が可能な測定機器を用いて、(1)単眼視で5秒間隔で10回の調節のステップ応答検査(片眼ずつ遮蔽し、両眼測定)、(2)両眼視で5秒間隔で10回の調節のステップ応答検査(両眼開放下で、片眼ずつ両眼測定)を行った。優位眼の決定には、Hole-in-card法を用いた。調節緊張時間、調節緊張速度、調節弛緩時間、調節弛緩速度、調節量、調節近方位置、調節遠方位置の測定項目より、調節機能の評価を行った。結果および結論;正視群も、近視群も優位眼の両眼視下調筋緊張速度の増加がみられ、その優位性は保たれていた。しかし近視群は。正視群にみられた優位眼と非優位眼との間の約0.2D程度のわずかな差を保持しながらのステップ応答ができなくなっていた。間歇性外斜視群では、単眼視において非優位眼の調節量が有意に減少し、結果として、調節弛緩時間の有意な短縮を認めた。間歇性外斜視では、日常生活に支障のない両眼視調節が行われているが、非優位眼単独では調節緊張反応の機能は低下しており、両眼視調節において優位眼は、非優位眼の機能低下の補完に費やされて、正視眼のような調節緊張反応の優位性が発揮できない現象が捉えられた。

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