胸腺腫摘出術時に偶然発見された肺犬糸状虫症の1例

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タイトル別名
  • Pulmonary Dirofilariasis Found Unexpectedly during Thymectomy

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抄録

最近犬糸状虫人体寄生例の報告が増加の傾向を示しているが, 昨年報告した北九州市で最初の肺犬糸状虫症に引き続いて同市内で再び犬糸状虫の肺寄生例を経験した. 患者は市内八幡西区に住む56才の女性. 昭和62年6月に胸部の異常陰影を指摘され, 重症筋無力症を伴う縦隔腫瘍の診断で胸腺摘出術を受けた際, 偶然左肺下葉に小結節を発見・切除されたが, 肺組織の懐死層を含むこの肉芽腫瘤内に寄生虫の断端像を認めた. 断端の径は400×310μmで, 角皮最外層には縦走隆起がなく最内層内側に隆起がある. 側索は狭小で筋層の高さに達し, 筋細胞はpolymyarian typeである. 以上の形態的特徴から, 犬糸状虫Dirofilaria immitis未成熟虫と同定された. 本症例は開胸手術中に偶然発見されたもので, 無症状の犬糸状虫症は報告された例数よりも実際にはさらに多いということをうかがわせる.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 10 (3), 325-330, 1988

    学校法人 産業医科大学

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