急性膵炎発症1年後に診断された早期十二指腸乳頭部癌の1例

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  • A Case of Early Carcinoma of the Papilla of Vater Diagnosed One Year after the Onset of Acute Pancreatitis

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抄録

急性膵炎発症1年経過後に診断された早期十二指腸乳頭部癌の1例を経験したので報告する.症例は61歳の女性.急性浮腫性膵炎の診断で前医に入院し,FOY投与などの保存的治療にて改善した.膵炎改善後の十二指腸乳頭部擦過細胞診ではClass IIであった.MRCPで主膵管の軽度拡張を認めるものの主膵管あるいは総胆管内に陰影欠損は認められず,急性膵炎の成因は不明であった.微小な乳頭部腫瘍の存在が否定できず,外来検査での経過観察が必要とされた.約10か月後に施行した内視鏡下十二指腸乳頭部生検にてGroup 5(腺癌)の結果を得たため,十二指腸乳頭部癌の診断で紹介され,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.標本の病理所見で共通管の小範囲に十二指腸乳頭部粘膜内に限局した低異型度の高分化型管状腺癌を認めた.原因不明の膵炎あるいは胆管炎症例では常に乳頭部の微小病変を念頭に置いて厳重な経過観察が必要と思われた.

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