Kasabach-Merritt syndrome への移行が危惧された肝巨大血管腫の1治験例

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  • A Case Report of Giant Hemangioma of the Liver with the Risk of Shifting to Kasabach-Merritt Syndrome

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抄録

今回われわれは,摘出標本4.3kgと過去10年間で2番目に大きく,Kasabach-Merritt syndromeへ移行する危険を伴った肝巨大血管腫の1症例を経験したので,文献的考察を含め報告する.症例は43歳女性で,腹部膨満感出現するも放置.その後,健康診断にて右横隔膜挙上を指摘され,精査入院となった.入院時所見としては,肺肝境界が第3肋間まで挙上し,表面平滑,弾性軟の肝臓を臍下2横指まで触知した.検査結果でplatelet 13×10^4/mm^3,prothrombin time 53%,thrombin time 33%,fibrinogen 112mg/dl,fibrin degradation products 40μg/mlと凝固線溶系に異常が認められたが,その他肝機能,腫瘍マーカーなど正常範囲であった.各種画像診断および肝動脈造影の結果,肝巨大血管腫と診断され,拡大右葉切除を施行した.術中所見では,腫瘤は肝右葉全域および方形葉を占拠し,左葉外側区域は左下方に著しく偏位していた.摘出標本重量は4.3kgで,組織学的に海綿状血管腫に血管内皮腫が加わったものであった.

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