同一家系内に多発発生を認めた多発性肝嚢胞症の1例

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  • A Case Report of Frequent Familial Aggregation of Polycystic Liver Disease

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抄録

心窩部膨満感および上腹部腫瘤を主訴とする48歳の女性の多発性肝嚢胞症に対して,1985年に嚢胞壁前壁切除術と開窓術を施行した.ひき続き本症例の姉も多発性肝嚢胞で当科にて同様の手術を行った.家族歴を詳細に調べたところ家系内に疑診者1名を含め計7名の多発性肝嚢胞症の集積を認めた.本家系のように濃厚な本症集積例の報告はまれである.遺伝様式の追究も含め嚢胞性疾患の家系内調査は必ず行うべきと考える.さらに本症例は初回手術3年後に,症状が再燃し画像診断上も遺残嚢胞の増大と嚢胞壁前壁切除部の腹壁との癒合を認めたため,超音波誘導下嚢胞内純エタノール注入療法が行われた.約10個の嚢胞に対しておのおの1〜4mlのエタノールを注入し再排液しない方法で行ったが,今日まで嚢胞は縮小したままである.類似症例に対して本法を積極的に行うつもりである.

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