核DNA量の解析が悪性度診断に有用であった非機能性膵島腫瘍の1例

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抄録

症例は60歳男性で集団検診にて肝機能異常を指摘され, 入院精査を受けたところ膵尾部に腫瘤が発見され, 膵尾部腫瘍の診断下に膵体尾部, 脾合併切除術を施行された. 臨床的にホルモン過剰生産に伴う症状を呈さず, 組織化学検査でグリメリウス染色, クロモグラニン染色, NSE 染色がいずれも陽性であり, 電顕にて内分泌顆粒が証明された. また, 血管侵襲像を認めたため非機能性膵島細胞癌と組織学的に診断された. Flow cytometry により, 細胞核 DNA 量解析を行ったところ, 標本採取部位11か所中9か所でDI=1.36のaneuploidyを, 2か所でDI=1.36,1.55の2クローンが混在していた. DNA ploidy からも病理組織診断が支持された. しかしながら, DNA 合成期細胞の割合は小さく, 細胞の増殖能は低いことが示唆された.

収録刊行物

  • 日消外会誌

    日消外会誌 25 901-905, 1992

    一般社団法人日本消化器外科学会

被引用文献 (2)*注記

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