胃転移を来した悪性神経鞘腫の1例

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  • A Case of Malignant Schwannoma with Gastric Metastasis

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抄録

左上肢原発の悪性神経鞘腫が胃に転移した症例を報告する.症例は54歳の女性で,主訴は貧血である.10年前,左前腕背側の腫瘤に始まる悪性神経鞘腫で, 左上肢を切断されるも,再発,転移を来していた.昨年,Hb4.5g/dlと貧血を認め,精査にて胃の巨大粘膜下腫瘤を認めた.粘膜生検標本は腺管構造を欠くも,低分化な腫瘍細胞からなっていた.上肢悪性神経鞘腫患者に発症した胃癌と診断し手術を施行した.摘出標本は胃体下部から幽門部の潰瘍を伴う巨大な粘膜下腫瘍で,組織所見は,悪性神経鞘腫の所見を呈し,S-100蛋白陰性も,NSE陽性,デスミン,ビメンチン,アクチン,ミオシン抗体は陰性であった.この結果は上肢の原発巣と一致し,悪性神経鞘腫の胃転移と診断した.悪性神経鞘腫は軟部組織腫瘍の10%を占めるが,胃に転移した症例の報告はなく, 極めてまれな症例であると思われた.

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