肝直接浸潤に起因する肝膿瘍を併発した上行結腸癌の1例

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  • Ascending Colon Cancer with Direct Invasion to the Liver Causing a Pyogenic Liver Abscess : Report of a Case

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抄録

肝直接浸潤を伴った大腸癌はまれであるが, これに起因する肝腫瘍を術前に併発した報告はない.肝直接浸潤に伴う瘻孔形成に起因する肝腫瘍により術前に重篤な状態となった1例を経験した.症例は69歳の男性.主訴は右季肋部痛, 易疲労感.近医より貧血を指摘され当院受診, 諸検査で肝S6に直接浸潤を伴う上行結腸癌と診断した.入院後1週目から発熱が出現し, 画像診断で肝浸潤部に連続する肝腫瘍と診断した.抗生剤投与で保存的加療したが, 予定手術の3日前頃より高血糖と血小板数低下が出現した.肝腫瘍も増大したが, 経皮経肝腫瘍ドレナージ術は腫瘍の散布を危ぐし施行しなかった.予定手術施行し, 腫瘍剥離に伴い肝腫瘍内溶液が流出し, これを吸引した.結腸右半切除術および肝浸潤部と肝腫瘍壁の大部分を含めて肝S5, 6部分切除術を行った.切除標本の検索で, 2型大腸癌の潰瘍底から肝浸潤部に穿通を認め, 肝膿瘍形成の原因と考えた.

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