膵癌に対する術中照射療法の成績と合併症

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  • Intraoperative Radiation Therapy for Patients with Pancreatic Carcinoma

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抄録

はじめに : 膵癌の治療成績向上のため1986年から当科で施行中の術中照射療法(IORT)の治療成績と合併症について検討した. 対照と方法 : 1980年1月から1999年12月までに当科で扱ったIORT施行および非施行の膵癌症例を対象とした. IORTは非切除例で40例(A群), 切除例で8例(B群)に施行した. この2群とIORT非施行の非切除例59例(C群)および切除例55例(D群)を比較検討した. 検討項目はA群とC群, B群とD群の生存率の有意差検定, A群のIORTによる除痛・腫瘍縮小効果, CA19-9の推移, また剖検例では照射による組織学的効果とした. さらに, 照射に伴う合併症についても検討した. 結果 : C群と比較してA群は有意な生存期間の延長と81.8%に除痛効果, 50%に腫瘍縮小および56.3%にCA19-9の低下が認められ, QOLの改善に有用であった. しかし, B群とD群の生存率に有意差はなかった. 組織学的にA群剖検例の照射野内の膵実質に著明な線維化を認め, 効果が確認された. IORTに関連した重篤な合併症をB群の2例に認めた. 1例はIORTの照射野内の膵断端の壊死を伴う膵空腸吻合の縫合不全, 他の1例はIORTと術後体外照射後の消化管, 血管の破綻による腹腔内出血であった. 考察 : 今後は照射による残存膵, 膵周囲の組織障害を考慮してバイパス手術の付加や照射線量の決定, 鉛板による遮蔽を徹底する必要がある.

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