膵癌の術後再発機序に関する臨床病理学的および分子生物学的検討

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  • Clinicopathlogical and Moleculer Studies for the Mechanism of Recurrence after Resection of Pancreatic Cancer

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抄録

浸潤性膵管癌(膵癌)切除後の再発機序の解明を目的に, 臨床病理学的検討ならびに分子生物学的検討を行った.まず, 過去5年間の切除例25例を対象に, 各再発形式に関与する臨床病理学的各因子を多変量解析により検討した結果, 肝転移に対しては原発巣の静脈侵襲が, 局所腹膜再発に対してはリンパ管侵襲が有意な再発危険因子であった.次に, 最近2年間の切除例13例で術中採取した肝, 腹膜, 骨髄組識中の癌細胞を検索した.PCR法により各組織からK-ras mutationの検出を試みた結果, 肝組織では肝転移再発したv2以上の4例中v3の1例(25.0%)のみで検出された.腹膜組織では1y2以上の5例中4例(80.0%)に検出され, 全例が腹膜再発した.骨髄組織ではv2かつ1y2以上の3例中2例(66.7%)に検出され, 全例に遠隔転移再発を認めた.以上より, 膵癌では脈管侵襲より形成された微小転移が術後再発の主な原因になっていると考えられた.

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