腎細胞癌膵転移の1例

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  • Solitaly Pancreatic Metastasis from Renal Cell Carcinoma

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抄録

腎細胞は肺・肝・骨髄などに比較的高頻度に血行性転移をきたすが,膵への転移は少ない.われわれは腎摘出後2年,4年後にそれぞれ肺転移巣を摘出し,6年後に再々度の肺転移および膵転移を切除した1症例を経験した.腎細胞癌膵転移切除例の報告は少なく,自験例を含め22例にすぎない.これらの症例は何らかの臨床症状を契機に発見されたものが多く,術後経過観察中の無症候性膵転移の発見切除例は自験例を含め3例のみである.進行期腫瘍術後の経過観察は局所のみならず全身臓器の精査が必要と思われた.腎細胞癌の転移巣に対しては化学療法あるいは放射線療法は効果が小さくその予後は一般に不良である.しかし自験例のように複数回の手術を受けながら比較的良好な予後が得られる症例もあることから,他に有効な治療法のない現時点では腎細胞癌多発転移症例もまた外科治療の対象となりうると思われた.

収録刊行物

  • 日消外会誌

    日消外会誌 27 130-134, 1994

    一般社団法人日本消化器外科学会

被引用文献 (4)*注記

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