鶏の下垂体の顕微分光測光法的研究 : II. 視床下部破壊が雄鶏の生殖機能に及ぼす影響

DOI HANDLE 被引用文献1件 オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Microspectrophotometrical Studies of the Hypophysis in the Domestic Fowl (Gallus domesticus) : II. Effects of Hypothalamic Lesions on the Reproductive Function in White Leghorn Cocks

この論文をさがす

抄録

鶏における繁殖機構解明の一方法として,白色レグホ一ン種雄鶏の視床下部の一部を電気的に破壊し,それが生殖機能に及ぼす影響について重量変化および組織学的面から追究した.結果を要約すれば次の通りである. 1) 正中隆起底部および後部を破壊すると生殖機能に大きな影響を及ぼしたが,この部位は雄鶏の生殖機能を支配調節する自律神経中枢であると思われる.同部位の破壊により,下垂体腺葉,精巣および鶏冠の諸重量は著しく減少し,組織学的にも退行変性していることが観察された. 2) 正中隆起後部を破壊すると精細管が萎縮するにもかかわらず,精巣内間質組織はコレステロールを含み異常に増殖肥大した間細胞をもつ実験鶏を多く観察した.これは同部位が雄鶏におけるプロラクチンの分泌調節と密接な関連を有することを示すものと思われる. 3) 正中隆起後部を破壊した一部の実験鶏で下垂体腺葉後部腺体が部分的に萎縮した組織変化を観察した.これは同部位の破壊が神経体液的伝達路である視床下部―下垂体門脈系を介して後部腺体にのみ影響を及ぼしたものと思われる. 4) 前交連へ向う視床下部後内側部(HPM)を破壊した実験鶏では,下垂体前部腺体の中の一部の塩基好性細胞が選択的に退行変性したが,これは同部位が甲状腺機能を支配調節する自律神経中枢であり,同部位の破壊によりTSH分泌細胞が影響を受けたことによるものと推察される. 5) 視床下部腹内側部(IH)を破壊すると著しい体重増加がみられたが,精巣の組織には変化がなく,同部位は生殖機能には関与しないものと思われる.また,雌鶏で排卵を誘起するといわれる視索前野(POM)も雄鶏では生殖機能に関与しないものと推察される.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390290699814494080
  • NII論文ID
    110001717202
  • NII書誌ID
    AN0005519X
  • DOI
    10.15017/23184
  • HANDLE
    2324/23184
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles

問題の指摘

ページトップへ