マイクロ波レジン重合法による上顎総義歯の変形

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タイトル別名
  • Deformation of Maxillary Complete Dentures by Microwave Resin Polymerization

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抄録

 マイクロ波重合時の照射条件が上顎総義歯の変形に与える影響を解明するとともに, 重合後の変形を経時的に調べた. さらに, 従来から行われている温熱重合法と比較した. <br>  1)マイクロ波重合義歯の人工歯部では, 左右方向に比べて前後方向の収縮が大きいために, 変形は大きかったが, 温熱重合義歯では, 変形は小さかった. <br>  2)マイクロ波重合義歯の粘膜面歯槽頂部では, 変形は照射条件によって差があった. すなわち, 粘膜面照射義歯では, 変形は小さく, 人工歯部照射義歯では, 前後方向に収縮したために, 変形は大きかった. 温熱重合義歯では, 前後方向に比べて左右方向の収縮が大きいために, 変形は大きかった. <br>  3)マイクロ波重合義歯の床縁部の変形も照射条件によって差があった. すなわち, 粘膜面照射義歯では, 変形は小さく, 人工歯部照射義歯では, 犬歯部床縁の変位のために, 変形は大きかった. 温熱重合義歯では, 変形は大きかった.<br>   4)いずれの重合法の義歯も重合直後には, ほとんどの計測点間は収縮した. しかし, 重合後, 37℃の蒸留水中に保存すると, 重合7日後以降には徐々に収縮が小さくなり, 重合30日後には重合前よりも膨張した計測点間もあった. また, 重量も, 重合1日後にいったん減少したが, その後は重合30日後に至るまで徐々に増加した. <br>  以上の結果から, マイクロ波重合義歯は, 従来の温熱重合義歯に比べて, 人工歯部の変形は大きいが, 粘膜面部の変形は, 照射を粘膜面側から行うことによって小さくできることがわかった.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 56 (1), 45-64, 1993

    大阪歯科学会

被引用文献 (4)*注記

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