側方荷重に対する歯および下顎骨の変位パターンについて

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タイトル別名
  • Displacement of the teeth and mandibular bone resulting from lateral loading

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抄録

摘出したイスの下顎骨の下顎底を第一大臼歯の歯軸が基底面に垂直になるように超硬石膏で固定し, 第一大臼歯の舌側に取り付けたフックにボールベヤリングを使用した装置で側方荷重を加え, 第一大臼歯および下顎骨表面の変位をホログラフィー干渉法で観察した. なお, 荷重は第一大臼歯に対して頬側から90°, 頬側遠心60°, 45°および30°の方向からそれぞれ歯軸に対して60°, 45°および30°の各方向から加えた.<BR> 第一大臼歯に対して頬側90°方向から側方荷重を加えると, 第一大臼歯には遠心部よりも近心部のほうが大きく変位していることを示す遠心上方から近心下方へ向かう直線状の干渉じまが現われた. 荷重を90°方向から遠心方向に変えるにつれて, 下顎骨を固定している超硬石膏の基底面に対する干渉じまの勾配は徐々に大きくなる傾向が認められた. このことは, 歯が回転状の変位をしていることを示している. また, 歯軸方向への荷重の角度を小さくするにつれて, すなわち, 荷重をより水平方向に変えるにつれて, 干渉じまの数は増大した. このことは, 水平方向の力は歯を著しく変位させやすいことを示している.<BR> 一方, 下顎畳表面では第一大臼歯に対して頬側90°方向から荷重を加えたときには, 最初に第一大臼歯の歯根の先端に相当する部位に円弧状の第一干渉じまが認められた. そして, 荷重を水平方向に変えるにつれて, 第一干渉じまは歯頚部方向に移動して, 第一干渉じまが最初に認められた部位に第二干渉じまが現われた. この現象は荷重の方向を水平の方向に変えれば変えるほど著しかった. なお, 荷重を90°方向から遠心方向に変えるにつれて, 干渉じまの数は減少し歯槽頂部に集中する傾向が認められた.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 59 (4), 356-364, 1996

    大阪歯科学会

参考文献 (14)*注記

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