第三大臼歯の発育についての臨床的研究 : オルソパントモグラムによる観察

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タイトル別名
  • Clinical Research on the Development of Third Molars in Panoramic Radiographs

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抄録

第三大臼歯の発育状況を把握することを目的とし, 大阪歯科大学附属病院小児歯科外来に来院した7歳0か月〜16歳11か月の患者9,111名 (男子4,646, 女子4,465名) の診療の必要上撮影されたオルソパントモグラム, および大阪歯科大学歯科放射線学の学生相互実習で得た2,769名 (男子2,312名, 女子457名) のオルソパントモグラムを調査した結果, 次のような結論を得た. <br> 1. 第三大臼歯の石灰化の開始は, 男女子とも上顎歯では7歳6か月, 下顎歯では7歳0か月に認められた. その平均年齢は, 上顎歯で男子 : 9歳4か月, 女子 : 9歳2か月, 下顎歯で男子 : 9歳1か月, 女子 : 8歳9か月であった. <br> 2. 第三大臼歯の歯冠完成時期の平均年齢は, 上顎歯では男子 : 11歳8か月, 女子 : 11歳5か月, 下顎歯では男子 : 12歳4か月, 女子 : 12歳3か月であった. <br> 3. 13歳以上での第三大臼歯の歯胚の存在率は, 男子では上顎歯 : 約70%, 下顎歯 : 約75%, 女子では上顎歯 : 約65%, 下顎歯 : 約80%であった. <br> 4. 第三大臼歯の4歯存在型は, 男子 : 52.3%, 女子 : 40.6%, また4歯すべての欠如型は, 男子 : 9.5%, 女子 : 12.0%であった. <br> 5. 第三大臼歯の萌出角度を垂直型, 近心型, 水平型, 遠心型, 頬側あるいは舌側方向型に分類した結果, 垂直型は, 男子では上顎歯 : 約70%, 下顎歯 : 約45%, 女子においては, 上顎歯 : 約50%, 下顎歯 : 約40%に出現した. <br> 6. 第三大臼歯の矮小歯は, 上顎歯のみに出現した. <br> 7. 第三大臼歯の欠如は, 男子よりも女子に, 下顎歯よりも上顎歯に多かった. <br> 以上の結果から, 第三大臼歯の現状が把握でき, 小児歯科学臨床における咬合誘導などの指針の一助となることが明らかになった.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 55 (4), 337-348, 1992

    大阪歯科学会

被引用文献 (4)*注記

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