黒ボク土の微細形態に及ぼす植生遷移の影響

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  • Effects of Secondary Succession on Micromorphology of Ando Soils in Central Japan
  • クロボクド ノ ビサイ ケイタイ ニ オヨボス ショクセイ センイ ノ エイキ

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抄録

微細形態観察用の土壌薄片を作製し,二次遷移に伴う土壌微細形態の変化を調べ考察した結果,以下のように要約される.1)ススキ草原およびアカマツ林,広葉樹林の表層土壌(深さ 0〜5cm)の微細形態は,ススキ草原で亜角塊状構造が主体であるのに対し,アカマツ林および広葉樹林では軟粒構造および小粒状構造が優占していた.2)森林下の土壌薄片中にはダニやトビムシなどの中型土壌動物の糞粒であると思われる小粒状ペッドが多数観察された.3)ススキ草原と広葉樹林の土壌薄片中のペッドおよび他の構成分の周囲の長さのフラクタル次元を測定した結果,ススキ草原に比べ広葉樹林のフラクタル次元のほうが高い値を示した.このことは広葉樹林下の土壌の微細構造はススキ草原下のものよりも複雑であることを示している.4)以上のことから,ススキ草原からアカマツ林,落葉広葉樹林へと二次遷移が進行すると,土壌の微細形態に変化が生じることが明らかとなり,植物の種類組成の変化だけでなく,土壌動物相も変化し,植生-土壌-動物の密接な関連性が示唆された.5)植生遷移と土壌への影響をタイムスケール別にみたところ,黒ボク土は,土壌生成因子の変化,とくに植生の変化に対していろいろと影響を受けやすいことが理解された.

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