わら施用時期が水田からのメタン放出に及ぼす影響

  • 犬伏 和之
    三重大学生物資源学部:(現)千葉大学園芸学部
  • 村松 康彦
    三重大学生物資源学部:(現)全国農業協同組合連合会農業技術センター
  • 梅林 正直
    三重大学生物資源学部

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of Incorporation-timing of Rice Straw on Methane Emissions from Paddy Soil
  • ワラ シヨウ ジキ ガ スイデン カラ ノ メタン ホウシュツ ニ オヨボス

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抄録

水田土壌中のメタンの生成や大気への放出に,稲わらの施用時期がどのような影響を与えるかを調べる目的で,湛水前の好気的場と湛水状態とを組み合わせた室内インキュベーション実験およびポット実験を行った.1)わらを土壌に添加して培養した室内実験で,湛水培養中に生成したメタン量は湛水前の培養期間が長いほど少なく,20日間前培養した区のメタン生成量は,5日間前培養した区の3割,あるいは前培養せずわら添加直後に湛水培養した区の4分の1に減少した.2)水稲を移植したポット実験では,湛水1〜2カ月前にわらを施用した区におけるメタン放出量が湛水直前に施用した区に比べ低く推移し,わら無施用区とほぼ同程度の値になった.わらをあらかじめ施用することによりメタン放出が著しく抑制され,放出ピークも遅れる傾向がみられた.1作期間中に放出されたメタン総量は,直前施用区に比べ50〜14%に抑制された.3)室内実験でメタンと二酸化炭素量を合計した結果,湛水前の培養日数が5〜20日間で変わっても,添加わら中の有機態炭素のうち湛水前後を通じて分解されガス化された炭素の総量はほとんど変わらなかった.しかし温室効果ガス量(メタン発生量を30倍して二酸化炭素発生量と合算)としては20日間前培養した場合,5日間前培養した場合の約3分の1に減少すると試算された.

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被引用文献 (8)*注記

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