MUレーダーで観測された梅雨前線近傍のローター循環

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タイトル別名
  • A Rotor Circulation near the Baiu Front Observed by the MU Radar
  • MUレーダーで観測された梅雨前線近傍のローター循環〔英文〕
  • MU レーダー デ カンソクサレタ バイウ ゼンセン キンボウ ノ ローター

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抄録

MUレーダー(滋賀県信楽町)を用いた下部対流圏3次元風速ベクトルの連続ドップラー観測から、梅雨前線近傍に存在するローター循環を検出した。ここで報告するような顕著なものが、流れの鉛直成分を含めて現実に観測されたのは、筆者等の知る限りにおいてこれが初めてである。ローターの時間および鉛直スケールは約50分および約2kmであり、また並行して行われたラジオゾンデ観測によれば、出現領域は静力学的に安定な成層構造をなしていた。気象庁高層観測および衛星観測に基く総観場および雲の解析から、ローターが出現した領域は梅雨前線面のすぐ下方であり、かつ中間(メソα)規模低気圧に伴って組織化されたバンド状降水雲の間に位置することがわかった。MUレーダーと同時に行った2周波(C/Ku帯)気象レーダー観測で得られた降水粒子エコーは、ローター前面の下降流域では極めて弱く、後面の上昇流域では極めて顕著で約9km高度にまで達していた。さらに大阪管区気象台によるレーダー観測およびメソ天気図解析から、このローターは、東西に約40km、南北に約150~200kmの大きさを持ち東方へ時速約50kmで進む中(メソβ)規模擾乱と同定された。成因について現時点で最も有力と考えられるのは、中間規模(条件付)対称不安定擾乱に伴って維持された弱い静力学的安定層中で、局所的シア不安定で偶発的に成長した中規模擾乱であるとするものである。

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