ノニルフェノールに対する免疫原の構造と抗体の抗原結合能に関する一考察

書誌事項

タイトル別名
  • On the Relationship Between the Structure of Immunogen and Affinity of Raised Antibody for Nonylphenol
  • ノニルフェノール ニ タイスル メンエキ ゲン ノ コウゾウ ト コウタイ ノ コウゲン ケツゴウノウ ニ カンスル イチ コウサツ

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抄録

本研究では内分泌撹乱作用が疑われている4-ノニルフェノール(NP)を測定対象物質とし、NPに対する抗体作製を試みた。まず、NP(分岐鎖混合体)のオルト位にアミノ基を導入し、キャリアータンパク質との複合体を作製した。これを免疫原として得られた抗体を用いて間接競合ELISA法によりNPの測定を行ったところ、本抗体はNPに対する結合性を有していたが、その結合は弱いものであった。また、本抗体は直鎖状よりも分岐鎖状のアルキル基を持つアルキルフェノール類に対して強い結合性を有していることが示された。次に、NPのもつ水酸基とアルキル基との位置関係に着目し、新たに免疫原を作製したが、得られた抗体はNPに対して十分な結合性を有していなかった。これらの結果は抗体が遊離NPよりも固相化抗原と強く結合するために両者が競合していないことが原因であると考えられた。そこで、抗体の抗原認識における特性を明らかにするため、交差反応性について検討した結果、本抗体はベンゼン環に置換している酸素原子または水酸基を特徴的に認識していることが示された。これらの結果を基に、NPのアルキル基部分の構造を変えずに水酸基を酸素原子に置換した構造をもつ固相化抗原を用いてNPの測定を行ったところ、抗体と遊離NPとの結合が確認された。以上の結果より、抗体のNPに対する結合には、アルキル基部分の構造が分岐鎖であるか直鎖であるかということ、及びベンゼン環に置換した酸素原子の存在が大きく関与していることが示唆された。また、競合させる固相化抗原の構造も測定に影響を与えることが示唆された。構造上の特徴がNPにより近い免疫原及び固相を用いて測定系を確立することにより、更に高感度なNPの測定が可能であると予測された。

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