脊髄損傷者のレース用車椅子走行における生理学的応答

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タイトル別名
  • PHYSIOLOGICAL RESPONSES DURING PUSHING OF A RACING-WHEELCHAIR IN ATHLETES WITH SPINAL CORD INJURY
  • セキズイ ソンショウシャ ノ レースヨウ クルマイス ソウコウ ニ オケル セ

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抄録

本研究では, レース用車椅子走行中の生理学的応答を知ることを目的として, 脊髄損傷者 (T4~L1) 男性5名を対象にふたつの実験を行った.第一の実験では, ローラー上でのレース用車椅子走行を行った.最大下運動と最大運動における生理学的応答をみるため, 換気量 (VE) , 酸素摂取量 (VO2) , 心拍数 (HR) , 血中乳酸濃度 (LA) , 主観的運動強度 (RPE) を測定した.換気性作業閾値 (VT) での%VO2maxは60.7±5.3%であった.速度に対してVO2は二次関数的に増加し, HRはS字状に上昇した.HRはVO2に対してVT付近までは直線的に上昇したが, その後急激な上昇がみられ, VO2よりも先に頭打ちとなり, その後はVO2のみが増加した.第二の実験では, トラックやロードで, レース用車椅子での1500m走, 5000m走, ハーフマラソン中のVE, VO2, HRを測定し, その競技としての特徴を探る試みを行った.1500m, 5000m走行中の%VO2maxはそれぞれ73.1±7.3%と66.0±13.3% (4名) であり, ハーフマラソンにおいては72.1% (1名) であった.これらの結果は, 車椅子の持久性競技選手が各々のVTを超えるような高い強度でのレースを行っていることを示している.

収録刊行物

  • 体力科学

    体力科学 47 (1), 73-85, 1998

    一般社団法人日本体力医学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (52)*注記

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