絨毛癌細胞のlymphokine activated killer (LAK)細胞に対する細胞障害抵抗性の解析

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  • Low Susceptibility of Choriocarcinoma Cell Lines to Lymphokine Activated Killer (LAK) Cells

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抄録

絨毛癌細胞株のlymphokine activated killer (LAK) 細胞に対する細胞障害性について, ^<51>Cr標識による細胞障害試験を用いた検討を行い, 以下の結果を得た。1) 5種の絨毛癌細胞株は, いずれも他の腫瘍細胞株には見られない, 強いLAK細胞およびnatural killer (NK) 細胞抵抗性のあることが, 判明した。すなわちeffector/target (E/T) ratio 20において, LAK細胞による5種の絨毛癌細胞株の細胞障害度は, 平均16.0±6.6%であった。一方, 絨毛癌細胞以外の16種の腫瘍細胞株の, LAK細胞による細胞障害度は, 平均64.6±16.4%であり, 絨毛癌細胞株に比べて有意 (p<0.001) に高かった。またNK細胞による絨毛癌細胞株の細胞障害度は, いずれも3%以下ときわめて低かった。2) cold target competitive inhibition studyにおいて, inhibitor cellとして添加した絨毛癌細胞株は, LAK細胞の細胞障害性に対して, 競合的抑制作用を示さなかった。したがって絨毛癌細胞表面には, LAK細胞の認識に関与する抗原が, 減少または欠如している可能性が示唆された。3) さらにこの実験で, inhibitor cellとして絨毛癌細胞株を添加した場合も, LAK細胞の細胞障害性が保たれていたことから, 絨毛癌細胞株のLAK細胞抵抗性には, 自身の分泌する免疫抑制物質は関与しないと考えられた。以上のことから, 絨毛癌細胞株はLAK細胞に対してきわめて強い抵抗性を有し, この抵抗性の機序が, 免疫抑制物質等によるのではなく, 絨毛癌細胞株表面のLAK細胞を認識する抗原が, 減少ないしは欠如しているためと考えられた。

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