ヒト月経黄体のSteroidogenesisおよびProstaglandins産生能 : 初期妊娠黄体との比較

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  • Comparative Studies on Steroidogenesis and Prostaglandins Production by Luteal Cells in newly Formed Corpora Lutea and Early Pregnancy

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抄録

ヒト分泌期中期黄体および初期妊娠黄体のsteroidogenesisとPGs産生能を長期単層培養法を用いて比較することにより, 黄体機能の維持ならびに退縮機構について検討した。方法は, ヒト分泌期中期黄体および妊娠初期黄体を用い細胞浮遊液 (1×10^5 cells/ml) を作成, 37℃, 5%CO_2下に10日間培養を行い, 48時間ごとに培養液中に分泌されるprogesterone (P), estradiol (E_2) およびPGs (PGE_2, PGF_<2α>, 6-keto-PGF_<1α>をRIAで測定した。(1) steroid産生能: hCG 100 ng/ml添加による月経黄体のP分泌は培養6日目に395.0±74.3 ng/10^5 cells/2daysと非添加群 (コントロール) に比し有意な高値を示した。また月経黄体におけるE_2分泌はhCG添加によってもコントロール群との間に有意差は認められなかった。一方, 妊娠黄体P, E_2分泌は月経黄体に比しそれぞれ1/10, 1/3と有意に低値であり, hCGに対する反応性も不良であった。(2) PGs産生能: PGE_2基礎分泌は, 培養10日間を通じ2~3 ng/10^5 cells/2days前後維持されていた。またarachidonic acid (AA) 100 ng/ml添加によりPGE_2産生は有意に刺激され, さらにAAは用量反応性にPGE_2分泌を促進したが, hCGとの相加作用は認められなかった。PGF_<2α>および6-keto-PGF_<1α>の基礎分泌量は培養4日目以後急激に減少し, AAに対する反応性も不良となった。妊娠黄体の各PGsの基礎分泌量は月経黄体に比し約1/5~1/10と有意に低値を示し, AAに対する反応性もほとんど認められなかった。(3) 妊娠黄体の培養10日目における超微形態は, 脂肪滴, 粗面小胞体およびやや増大した管状クリスタを有する円形ミトコンドリアを示し, 初期妊娠黄体に特有の超微形態所見が観察された。以上の結果より, 分泌期中期黄体では明らかにPGE_2産生能が優位であることが長期単層培養法によって解明され, 内因性PGE_2が黄体機能維持のために何らかの役割を果たしていることが推察された。

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