子宮頚癌における旁大動脈リンパ節転移について

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  • The Incidence and Clinical Significance of Paraaortic Lymph Node Metastases in Patients with Uterine Cervical Cancer

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抄録

1982年6月から1988年3月までの間に北海道大学産婦人科において広汎性子宮全摘術を施行した246例の子宮頚癌症例について旁大動脈リンパ節転移と組織型, 臨床進行期および生存率との関連を検討した. 旁大動脈リンパ節(PAN)転移は246例中13例(5ャ3%)に認められた. 臨床進行期との関連をみるとI期で1.0%(1/102), II期で4.9%(5/102), III期で16.7%(7/42)と進行の度合とともに転移率は増加した. 組織型別にみると肩平上皮癌で4.6%(8/173), 腺癌および混合型を合わせた腺癌系で6.8%(5/73)の転移率であった. 腺癌系をさらに腺癌と混合型に分けると腺癌で9.1%(4/44), 混合型で3.4%(1/29)と腺癌で高い傾向にあったが, 有意差はなかった. PAN転移陽性例では全例に骨盤リンパ節への転移を認め, PAN転移陽性例における骨盤リンパ節転移部位数はPAN転移陰性例のそれに比して有意に多かった. 1988年8月時点でPAN転移陽性13例のうち7例が死亡している. 死亡例の平均生存期間は14.9±12.2 (M±SD)ヵ月であった. 生存している6例のうち3年以上の生存は3例である. PAN転移陽性例の3年生存率は35.5%であった. 以上の結果より, 臨床期I期の頚癌におけるPAN転移の頻度は1%と低いことが示された. またII, III期例においてはPAN郭清の所見に基づき以後の治療の個別化をすべきであり, リンパ節郭清と放射線あるいは化学療法の併用によりPAN転移陽性例の予後が改善される期待がもたれるものと推察された.

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