当科における重複癌の検討

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タイトル別名
  • Multiple Primary Cancers Associated with Gynecologic Malignancies

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抄録

重複癌の存在は古くから知られ非常にまれな疾患と考えられたが, 近年では増加傾向にあり決してまれではなくなってきている. 今回われわれは, 過去5年間に当科において診断・治療した婦人科臓器原発の悪性腫瘍患者316例を対象として重複癌の検索を行った. 316例中17例(5.4%)の重複癌症例が存在し1例は3重複癌であった. 重複癌のうち子宮頚癌を含むものは9例で子宮頚癌症例中の頻度は4.4%, 子宮体癌を含むものは5例でその頻度は15.2%, 子宮肉腫を含むものは1例で14.3%, 卵巣癌を含むものは5例で8.6%であった. 重複部位は大腸(直腸を含む)が5例で最も多く, 乳房4例, 婦人科領域内3例であった. 第1癌と第2癌の診断間隔は同時のものから最長17年11カ月に及んでいた. また国内の各施設で治療した婦人科悪性腫瘍患者を対象とした報告を総合し, 子宮頚癌・子宮体癌・卵巣癌および婦人科悪性腫瘍全体との重複癌の頻度と重複部位を検討した. この結果婦人科悪性腫瘍を含む重複癌は乳癌・婦人科悪性腫瘍・胃癌・大腸癌と合併することが多く, これらの臓器の精査の必要性を痛感した. またわれわれの結果は諸報告に比し重複癌の頻度が高率であったが, 詳細な病歴聴取・全身(とくに消化管)の検索を徹底していることが原因と考えられた.

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