超音波断層法による黄体化非破裂卵胞の研究

書誌事項

タイトル別名
  • Ultrasonographical Study on Luteinized Unruptured Follicle

この論文をさがす

抄録

超音波断層法による連続的卵胞観察を用いて黄体化非破裂卵胞(LUF)を診断し, 本症の不妊症における病態, 発症原因を臨床的に検討するとともに, 超音波ガイド下にLUFを穿刺し, 卵胞内ホルモン濃度, 採卵成績, 受精実験結果からLUFの卵胞内環境を検討した. 1) LUFは, 排卵を有すると考えられる不妊症患者において13.5%(52/384周期)にみられた. 2) 原因別の発症頻度の検討では, LUFは多嚢胞性卵巣(37.5%), 子宮内膜症(24.7%), 卵管不妊(21.4%)に高率に認められ, 男性不妊(6.8%)や妊娠成立群(2.7%)では低率であった. また骨盤内手術既往症例で有意に高率(26.2%)に認められた. 3) LUFの卵胞発育は自然排卵周期と同様であったが, LUF周期では黄体期にも卵胞径が増大し, LHサージ後7日目に最大(平均42.6±7.2mm)となり, その後漸減する特徴的卵胞発育様式を認めた. 4) LUFを呈した21症例の卵胞内容液の検討では, その性状, ホルモン値ともに自然排卵後の黄体嚢胞の値と同等であり, 31.6%(6/19)で卵胞内の残存卵子が回収された. 卵子はすべて変性または過熟化を呈しており, 後者の受精実験では多精子受精および異常分割が認められた. 以上の結果から, LUFは超音波断層法を用いた24時間ごとの連続的卵胞観察により的確に診断でき, その頻度の高さから, 重要な女性不妊原因として考慮する必要性が明らかとなった. また, LUFの原因には, 卵胞局所の異常による機械的排卵障害が関与していることが示唆され, 本症の病態生理学的検討には, 超音波ガイド下卵胞穿刺術の応用が極めて有用であった.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ