子宮傍組織浸潤およびリンパ節転移のない子宮頚癌の術後照射

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  • Postoperative Irradiation for Cervical Carcinoma without Lymph Nodal Involvement or Parametrial Invasion

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抄録

子宮傍組織浸潤(P)およびリンパ節転移(N)のない子宮頚癌に対する術後照射の意義を検討した. 昭和40年より昭和59年までに, 当院で手術したP(-)N(-)頚癌469例のうち, 臨床進行期IbまたはIIbで健常筋層が5mm未満の225例と, 臨床進行期IIa 54例の計279例を対象とした. 健常筋層5mm未満225例のうち照射群は83例(37%), IIa 54例のうち照射群は17例(31%)であった. それぞれ, 照射, 非照射別に検討を加えた. A)健常筋層5mm未満225例 1)5年生存率は照射群84%(70/83), 非照射群92%(131/142)で照射群が低い傾向にあった(p<0.10). 2)再発率では照射群8.4%(7/83), 非照射群9.2%(13/142)と有意差はなかった. ただし, 照射野内再発(骨盤内, 腔)は, 照射群1.2%(1/83), 非照射群2.8%(4/142)で有意差を認めた(p<0.025). 3)イレウス, 原因不明死は, 照射群は9.6%(8/83), 非照射群0.7%(1/142)であった. 4)臨床進行期IbおよびIIbの5年生存率は, それぞれ90%, 86%で有意差がなく, 予後因子としては術前診断より術後診断が重要と思われた. B)臨床進行期IIa 54例 5年生存率は, 照射群100%, 非照射群92%で有意差は認めなかった. 再発率は, 照射群0%に対して非照射群は14%で, 有意差はないものの非照射群に多かった. 以上より, P(-)N(-)頚癌の場合, 非照射群の転帰が著明に低下することはなく, 術後照射はその副作用も考え, より慎重な適応が望まれる.

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