子宮体癌pT2症例に関する臨床的考察

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  • Treatment and Prognosis of pT2 Endometrial Carcinoma

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抄録

昭和41年から昭和63年までの23年間に国立大阪病院産婦人科において子宮摘出術を施行された体癌患者は270例である. このうち, 術後組織診にて頚部浸潤の認められた66例についてその治療成績を検討した. 1)pT2症例全体の5年生存率は75.7%であった. これを頚部浸潤の程度によって頚管腺領域内に止まるもの(A群)と, 頚部間質部まで浸潤の及んでいるもの(B群)に分けて比較すると, A群の5年生存率は91.7%と良好であったが, B群のそれは60.0%に低下しており, 両者の間には統計学的に有意差が見られた(p<0.05). 2)手術術式別に予後を比較すると, A, B両群とも広汎性子宮全摘術施行例の成績が良好であるとの結果が得られたが, 統計学的には有意差は見られなかった. 3)体部筋層浸潤が1/3までの浅い症例の5年生存率は88.0%, 2/3までのもの66.7%, 2/3を超える症例のそれは44.4%となっており, 1/3までの群は2/3を超える群に比較して有意に予後は良好であった. 4)組織型および分化度と予後との間にはとくに相関関係は見られなかった. 5)リンパ節郭清はA, B両群とも70%程度に施行されたに過ぎないが, 郭清例における転移頻度はA群8.3%, B群では30.4%となっていた. 転移例の5年生存率は33.3%であり, 非転移例の95.7%に比ベ予後は不良であった. なお, 非郭清例のそれは58.8%であった. 6)初回治療後5年以内に再発・死亡した症例は12例(頚管腺領域内浸潤例;2例, 間質浸潤例;10例)である. 前者では局所再発のみのものは見られず, また後者では局所再発;5例, 局所および遠隔転移;2例, 遠隔転移のみ;3例であった. 7)今回の成績から頚部浸潤の浅いII期癌症例に対しては単純性子宮全摘術(リンパ節郭清を含む)で十分と思われるが, 頚部浸潤の深い症例に対しては広汎性子宮全摘術の施行が望ましいといえる.

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