卵巣摘出後の全骨盤照射により腰椎と大腿骨頭骨密度はどのように変化するか : 卵巣摘出非照射例との比較

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  • Changes in Spinal and Femoral Bone Mineral Density Due to Pelvic Irradiation Following Oophorectomy

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抄録

広汎性子宮全摘術, 骨盤リンパ節廓清術, 両側附属器切除術を施行した子宮頚癌19例 (術後全骨盤照射8例, 対照: 非照射11例) を対象として, 経時的にdual photon absorptiometry (DPA) 法による骨密度の測定と骨代謝パラメータの測定を行い, 卵巣摘出後の放射線治療の骨変化に対する影響を検討した。(1) 性ホルモンの変化: 照射群, 対照群とも治療前に比し, 有意なfollicle stimulating hormoneの上昇とestradiolの低下を認め (p<0.01), 両群とも卵巣機能の欠乏が確認された。(2) 骨代謝パラメータの変化: 照射群, 対照群とも治療前に比し, 有意なalkaline phosphatase, 尿中hydroxyproline/creatinine, calcium/creatinineの上昇 (p<0.05) が認められ, 両群とも骨代謝回転の亢進が確認された。(3) 骨密度の変化: 対照群では腰椎骨密度は治療前に比し直線的に有意に減少した (p<0.05)。照射群でも同様に, 3カ月では97.0±1.9%, 6カ月では94.1±1.7%と有意に減少した (p<0.05) が, 12カ月では93.2±2.2%と6カ月以降より骨密度の減少速度が遅延する傾向がみられた。DPAの画像では照射部位のL_<2-4>の骨密度の減少が軽度であった。大腿骨頭骨密度には両群間に有意差はなかった。以上より, 照射後1年以内では, 照射部位における骨密度の減少は遅延する傾向にあることが示唆された。

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