経膣超音波断層法による卵巣癌の集団検診

書誌事項

タイトル別名
  • Mass-screening for Ovarian Cancer by Means of Transvaginal Ultrasonography

この論文をさがす

抄録

卵巣癌の早期診断法は確立されてはおらず, したがつてその検診法も模索段階にある. 私たちは平成元年4月より経膣超音波断層法による卵巣癌の集団検診を実施しているので, 今回その方法や成績につき報告する. 1. 検診方法 : 一次検診を子宮癌検診(検診車法)と同時に実施し, 対象は子宮癌検診対象者と同じ30歳以上の婦人とした. 経膣超音波断層検査は内診と細胞採取に引き続き同一の検診台上で実施した. 超音波装置はSONOVISTA-SL MODEL MEU1577型(持田製)を用い, 5.0MHzで走査した. また, 超音波検査に際しては検査時間の短縮と検診の統一性, 及び検査所見の保存・解析のために経膣プローベによる走査断面を5断面に設定し, 検査中の超音波画像をすべて8mm-VTRに同時収録した. 2. 検診成績 : (1) 一次検診は青森県内67市町村のうち12市町村で実施された. 総受診者は15, 282名で, 受診者一人当たりの検診時間は子宮癌検診と超音波検査を含めて60~70秒であつた. (2) 要二次検診者は838名(5.5%)であつた. このうち, 674名(80.4%)が二次検診を受け, 要精検者は86名であつた. (3) 86名の要精検者のうち57名が要治療とされ, 48名に開腹術が行われた. その結果, 1名の悪性卵巣腫瘍と1名の境界悪性卵巣腫瘍が発見された. (4) 発見された(境界)悪性卵巣腫瘍の2名はCAMPAS OV-1がいずれも陰性であつた. 以上の成績から, 本法による卵巣癌検診は住民にも容易に受け入れられ有用であると考えられた. 今後, 要二次検診とする基準や精検の方法, false negativeの問題を検討する必要があると思われた.

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ